日頃より当社グループ事業へのご理解とともに厚いご支援を賜り、心より御礼申し上げます。

ここに第24期(20253月期)の営業状況を報告し、 新たに策定した中期経営計画にもとづく事業展開を説明させていただきます。

第24期の営業状況を振り返って

 現在の宅配食市場は、利便性の高いフードデリバリーが消費者のライフスタイルに定着し、コロナ禍を機に拡大した市場規模を維持しているものの、物価の上昇を受けて生活防衛意識が強まり、さらなる利用増加の阻害要因となっています。また原材料価格の高騰や人件費の上昇などコスト環境の悪化が続いており、これを購買力やスケールメリットでカバーできる大手事業者と、克服が困難な中小事業者の二極化が進んでいる状況です。

 

 そうした中で当社グループ事業は、参入障壁が高い宅配寿司業態を主力とし、競合先がほぼ存在しない環境下で、リスクを回避しながら成長へのコマを着実に進めています。この1年間の営業状況は、大型連休やお盆、年末年始など繁忙期の売上が堅調に推移しましたが、前期に実施した一部直営店舗の閉店や「ファインダイン」のサービス終了が影響し、また足もとでも不採算店舗の整理と新規出店の抑制を継続したことなどから、減収となりました。利益面は、円安による仕入れ価格の高騰の影響が大きく、2024年10月には価格改定を実施し、売上原価の改善を図ったものの、減益を余儀なくされました。

 

 以上の結果、第24期(2025年3月期)の連結業績は、売上高233億93百万円(前期比2.5%減)、営業利益7億81百万円(同26.8%減)、経常利益7億21百万円(同29.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3億33百万円(同8.6%減)となりました。
 

 

将来の成長を見据えた事業展開

 第23期(2024年3月期)に始動した3ヵ年中期経営計画は、重点テーマのうち「セカンドブランドの強化」における検証と「店舗の海外展開」の検討に時間を要し、また利益成長の進捗に目標値との乖離が生じているため、これを取り下げました。今後の計画については、事業環境などを総合的に勘案し、合理的な策定が可能になった段階でお知らせ申し上げます。

 

 一方で当社グループは、今後の成長に向けた新規事業・新業態開発の手を緩めることなく、積極的な試行を継続しています。
その中で今、私自身が最も期待し、陣頭指揮を執って開発を進めているのが、2024年12月に岐阜県岐阜市に1号店をオープンした店内飲食の蕎麦業態「最上(もがみ)製麺」です。自信作の「冷やしたぬき」をはじめ、独自配合で麺の風味とのど越しの良さにこだわった本格蕎麦を、「銀のさら」の豊富な寿司メニューや丼メニューと合せて、低価格で味わっていただけるセルフサービスの和食業態として開発しました。今後、直営で複数店舗を出店し、グループ事業の新たな柱に育てたいと考えています。2025年1月には、店内飲食業態の新たな展開として、鰻メニューを三段重でご提供する「鰻や のぼり」の1号店を東京都品川区にオープンしました。斬新なスタイルと高品質なサービスで、一口ごとに異なる味わいが楽しめるうな重をご提供します。この他には、お客様が自ら握って仕上げ、家庭でお楽しみいただく冷凍寿司キット「ご自宅にぎり寿司」を2024年10月に発売し、また2025年3月には、タイ・バンコクの最新型商業施設に当社グループ初の海外イートイン業態となる本格和食レストラン「SUSHI&UNAGI GIN SARA」を出店しました。

 

 足もとの業績が厳しい中でも、将来の事業拡大を見据え、こうした意欲的なチャレンジを進めることができるのは、近年進めてきたベンチャー投資がしっかり成果を上げ、バランスシートの健全性が担保されているためです。当社グループは、業績回復に向けて既存ブランドの強化に努めるとともに、収益基盤の強化と新たな成長性の確保を図り、企業価値を高めていきます。
 

 

株主の皆様におかれましては、私たちが実現していく豊かな未来にご期待いただき、長期的なご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長 江見朗