日頃より当社グループ事業へのご理解とともに厚いご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
ここに第22期(2023年3月期)の営業状況を報告し、 新たに策定した中期経営計画にもとづく事業展開を説明させていただきます。
第22期の営業状況を振り返って
ライフスタイルの変化を背景に成長し続けてきた宅配食市場は、コロナ禍によるフードデリバリー需要の急激な増加を受け、一気に市場規模を拡大しましたが、この1年間は、行動制限の解除が進むなどコロナ禍の影響が緩和される中、前年までの特需効果の反動が見られました。
当社グループ事業においては、出店拡大方針のもと当期末現在で777店舗・387拠点(前期末比17店舗・9拠点増)を展開し、テイクアウトの併設や表通り沿いへの店舗移設を進めたことに加え、2022年10月および2023年3月に価格改定を実施したことにより、売上高の堅調を保持しましたが、特需効果の反動を受け、期初の売上計画を下回りました。
一方、資源価格の高騰や円安により仕入原価が上昇し、人件費の増加が続く厳しいコスト環境の中、積極出店に伴い販売管理費が増加したことなどから、利益が大きく圧迫される状況となりました。
結果として第22期(2023年3月期)の連結業績は、売上高が 253億53百万円(前期比1.4%減)となり、引き続き250億円台の高水準を維持しながらも、利益面においては、営業利益12億51百万円(同35.6%減)、経常利益10億99百万円(同45.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5億46百万円(同56.2%減)にとどまり、前期実績を下回りました。
新3ヵ年中期経営計画を始動
当社グループは、デフレから正常なインフレ社会へ移行していく今後の環境変化を機会と捉え、既存ブランドの強化と複合化戦略の促進を図るとともに、将来を見据えて海外出店への布石を打つ考えです。これを具現化すべく、第23期(2024年3月期)から第25期(2026年3月期)までの3ヵ年を期間とする中期経営計画を策定し、始動しました。本計画は、コア事業の収益力を高めながら、今後の成長に向けて新たな事業投資を実施し、収益基盤を強化・拡張していくものです。
基本戦略としては、まず既存ブランドの強化・拡大を打ち出し、「すし上等!」のリブランドと「釜寅」のコンセプト変更を行います。「すし上等!」は、顧客ターゲットのセグメンテーションを変更し、顧 客単価と月商を上げていきます。「釜寅」は、これまでの釜めしから「ひつまぶし」スタイルでの提供へシフトし、売上の向上につなげていきます。同時にテイクアウト展開の強化などにより、販売窓口を拡げていきます。
もう一つの基本戦略は、新規事業と新ブランドの開発です。「銀のさら」ブランドによるイートイン+デリバリー型店舗の海外進出に着手し、2022年9月のタイ・バンコクへの海外初出店に続く東南アジア展開を進める一方、米国出店への足掛かりを築きます。また都内一部エリアで検証してきた「厚切り牛たん まつしま」「鰻一本重 ゆす木」を新ブランドとして実装する複合化展開に取り組んでいきます。
これらの基本戦略と並行して、AI・システム導入により業務の自動化を推進し、生産性を高めていきます。
計画当初は、厳しいコスト環境と先行投資による減益を想定していますが、最終年度の第25期(2026年3月期)に経常利益12億円を確保し、次期計画に移行する第26期(2027年3月期)からの拡大・発展期は、同20億円の水準を目指します。
株主の皆様におかれましては、私たちが実現していく豊かな未来にご期待いただき、長期的なご支援を賜りますようお願い申し上げます。
代表取締役社長 江見朗